JR久留米駅は、福岡県久留米市の交通の要衝として、九州新幹線、JR鹿児島本線、JR久大本線の3路線が乗り入れる便利な駅です。特にJR久大本線は当駅が起点となっており、九州の南北と東を結ぶアクセス拠点としての役割を担っています。
新しく生まれ変わった駅舎と「おもてなし」の心
現在のJR久留米駅舎は、九州新幹線開業に合わせて2010年に大規模改築された鉄筋コンクリート造り3階建ての橋上駅舎です。これにより、線路を挟んで東西に「まちなか口」(東口)と「水天宮口」(西口)という2つの出入口が設けられ、どちらからでもアクセスしやすくなりました。
駅舎の床タイルには、久留米の伝統工芸品である久留米絣をモチーフにした美しい幾何学模様がデザインされており、改札口やコンコースで異なる柄を楽しめます。また、東西を結ぶ自由通路は「ほとめき広場」と名付けられ、地域の交流拠点としても活用されています。
駅構内や周辺には、訪れる人々への「おもてなし」の工夫が随所に見られます。改札口横のバラの飾り付けやストリートピアノ、そして久留米ゆかりの人物に関係するメロディーが流れるなど、心温まる演出が魅力です。
駅周辺の充実した施設と観光スポット
駅構内にはコンビニエンスストアやお土産売り場があり、ちょっとした買い物に便利です。お土産売り場の横には久留米市観光案内所があり、コミュニティサイクル(レンタサイクル)も利用できるので、手軽に久留米の街を散策できます。
また、駅構内には食堂街「えきマチ1丁目久留米」があり、居酒屋やラーメン店などが揃っているので、食事にも困りません。
まちなか口(東口)の駅前広場には、久留米出身の異才、田中久重(からくり儀右衛門)を紹介する「からくり時計」が設置されており、ユニークな仕掛けと音声で訪れる人を楽しませています。さらに、ロータリーにはブリヂストン提供の世界最大級のタイヤのモニュメントも設置されており、久留米が誇る企業の存在感をアピールしています。
からくり時計の仕組みと演出
からくり時計は、田中久重が製作したとされる「太鼓時計」をモチーフにしています。定時になると、以下の内容で約5分間の実演が行われます。
- 時刻の合図: 定時になると、時の数だけ太鼓の音が鳴り響き、2羽の諌鼓鳥(かんこどり)が文字盤をライトで照らしながら前に移動します。
- 儀右衛門人形の登場: 音楽が流れ始めると、文字盤がダイナミックに回転し、からくり儀右衛門(田中久重)の人形が登場し、挨拶を行います。
- 発明品の紹介: 儀右衛門人形は、自分が考案・製作した作品の一部(無尽灯、万年回転独楽、弓ひき童子など)を身振り手振りで紹介します。特に「弓ひき童子」は、人形が矢を弓につがえ、的を射るという高度な動作を繰り返す精巧なものです。
- 久留米ゆかりのメロディー: 演出時には、久留米にゆかりのある歌手や作曲家の代表曲が流れます。例えば、久留米出身の松田聖子さんの「赤いスイートピー」、チェッカーズの「涙のリクエスト」、作曲家・中村八大さんの「上を向いて歩こう」などが採用されています。
実演時間
からくり時計の実演は、朝8時から夜7時まで、毎正時および30分毎に行われます。そのため、日中の時間帯であれば、久留米駅を訪れる多くの人がこのユニークな演出を楽しむことができます。
悪天候の日や、現地で実演を見る時間がない場合でも、からくり太鼓時計の脚の下にある説明文の石碑に貼られているQRコードを読み込むことで、実演の動画を見ることが可能です。
歴史と自然を感じる周辺観光地
JR久留米駅から徒歩圏内には、歴史と自然を満喫できる観光名所が点在しています。
- 坂本繁二郎生家: 久留米を代表する画家・坂本繁二郎の生家で、久留米に唯一残る貴重な武家屋敷です。
- 水天宮: 全国に数ある水天宮の総本宮であり、安産や水難除けの神様として信仰を集めています。筑後川花火大会の最寄り駅でもあります。
- 梅林寺: 久留米藩主有馬氏の菩提寺であり、九州屈指の禅道場として知られています。約30種500本の梅が植えられた梅の名所としても有名で、春には美しい景色が広がります。
- 久留米城跡: 有馬氏の居城跡で、現在は篠山神社が鎮座しています。桜や紅葉の名所としても知られ、特に石垣と桜のコントラストは圧巻です。
- 城島の酒蔵:遠いけど展示品がありました。